投手のガッツポーズ

※※※8月17日(木)※※※

相手打者を三振に打ち取った際、大きなガッツポーズをして雄たけびを上げることで話題になっている創志学園(岡山)の西純矢(2年)投手が、球審から注意を受けたそうです。

甲子園での2回戦、試合の序盤にベンチに帰るとき、球審から「必要以上にガッツポーズはしないように」と強い口調で言われた様です。

感情をむき出しにしながら、相手に立ち向かうのが西君の投球スタイルですが、試合中にそれを否定され、リズムが狂った西君は、9四死球と大乱調となり2回戦で敗退しました。

試合中の不意な禁止通達が動揺を誘ったことは想像に難くありませんが、同校の監督は試合後にこの話を聞いて驚いていたそうですが、私にとってはこの監督の驚きに驚きました。

ガッツポーズは、相手ベンチに向かって挑発行為を取っている訳ではなく、高校野球の規則で禁止されている訳ではありません。 

これに対して、高野連事務局長は、「ルールでは禁止されてはいませんが、マナーの問題。 高校野球の精神として相手をリスペクトすることが大事。」と話しています。

長い高校野球指導のある私としても、「ガッツポーズで喜びを表すというのは自然の姿ではあるものの、相手の心情も考えて、度が過ぎる行為は慎むべき」だと思います。

野球の本場である米国や国際大会では、こうした行為はやってはいけないという「アンリトゥン・ルール暗黙の了解)」があります。

ただ、甲子園の2回戦の段階で、審判団がやかましく言い出したということについては、どうかと思います。

甲子園での一回戦の創成館戦や地方(岡山)大会で、きちんと注意喚起し、指導されていたのでしょうか。 その意味で、創志学園の監督は驚いたのかも知れません。

「過度なガッツポーズがダメだというのなら、規則として明記するべき」との声も聞こえますが、それは書くべきではありませんし、書くことができません。

なぜなら、野球人としてのマナーは数限りありますので、一々書けないからです。 規則で書かれていなくても、してはいけないことを判断する精神を養うことが重要です。

皆さんのお宅の電子レンジに、「このレンジで猫の毛を乾かさないで下さい。 猫を入れないで下さい」と注意書きがありますか? それと同じです。

「注意書きがなかったら、レンジに猫を入れますか」、それと同じくらいの、当然のマナーです。

今大会に出場している近江高校の2年生投手林君、彼のマウンド上での表情・動作を見て下さい。 そんなガッツポーズや嫌な顔など要らない動作は一切しません。

西君は、昨年お父さんを亡くしたと聞いています。 それだけに、今年の甲子園で期する大きなものがあるのでしょう。 それも分かります。

だからこそ、自分だけでない、対戦相手に敬意を払う思いやりの心を学んで欲しいと思います。それが、高校野球をする本当の意味です。 

そして、それをきちんと教えるのが指導者の果たすべき役割です。

高校野球の精神に直球勝負。