パパの戦争

※※※9月15日(金)※※※

北朝鮮が15日朝、平壌近郊から弾道ミサイルを発射しました。 これは、北朝鮮が8月29日に発射したものと同じ中距離弾道ミサイル火星12」だった様です。

北朝鮮は体制維持のため、今後も核弾頭を搭載した大陸間弾道ミサイルICBM)の実戦配備をめざし、核・ミサイル開発を続ける可能性が高く、このままで戦争へ突入するのでしょうか。

以下の文は、2013年1月に80歳で死去した映画監督大島渚氏が、1973夏に長男(小学校四年)の宿題「親の戦争体験を聴く」を受けて書いたという「パパの戦争」と名付けた詩です。

◆「パパの戦争」全文

~ ~ ~ 戦争が終った日、パパ、十三才、中学の二年そう言えば戦争が中国から太平洋へ広がった年、パパ、君と同じ 四年生だった。

戦争が終った日。 朝から将棋をさす。正午、陛下の放送。午後も 将棋をさす。 駒、見えていない。 王将は、あったかどうか。

夜。 母、疎開の妹を迎えに旅立つ。 妹ばかり大事にしてる。 眠れない。 電燈明かるく、非常食の炒り米ボリボリかじる。

あくる日。 庭を堀る。 本を入れて埋めてあったかめ。 だが、本は水びたし。君は今も見ることができる。 その本を パパの書斉の奥に。

次の日。 学校へ行ってみる。 全校生徒で堀った、堀りかけのプール。 もっこ担いで土運び、何度、上級生に蹴られたか。 上級生にさからうのは、天皇陛下にさからうことだぞ!

戦争が終った日、パパ、十三才、中学の二年。 銃とるだけが戦争じゃない。 上級生のビンタ、水びたしの本、妹と別れてくらすことも、みんなパパの戦争だった。 今、君に戦争はあるか。

戦争が終った日、パパ、十三才、中学の二年。 憎むことを知り今、パパ、四十一才。 憎みつづけている、戦争を。 君よ、君に戦争はあるか。 君よ、今を大切にせよ。 ~ ~ ~

<大島渚:おおしま・なぎさ> 1932年生まれ。京都市出身。1978年「愛の亡霊」でカンヌ国際映画祭監督賞受賞。2013年80歳で死去。長男の武さんは東京工芸大教授。

反戦に直球勝負。