教員のタイムカード

※※※9月16日(土)※※※

長時間労働が問題になっている教員の働き方について、この8月に中央教育審議会(中教審)の特別部会が緊急提言をまとめたと報じられています。

新聞各紙の紙面には、いずれも「タイムカード」の文字が見出しを飾っている通り、緊急提言の目玉は「タイムカードの導入」ということです。

そもそも、教員の働き方改革や長時間労働の解消に「タイムカードの導入」は効果があるのでしょうか。

2016年度の文部科学省の教員勤務実態調査(速報値)によれば、タイムカードで退勤時刻を記録している学校は小学校で10.3%、中学校では13.3%となっています。

こうした実態も踏まえ、「服務監督権者である教育委員会は、自己申告方式ではなく、タイムカードなど勤務時間を客観的に把握し、集計するシステムが直ちに構築されるよう努めること」としています。

しかし、タイムカードの導入で教員の労働時間が減ったのかどうかについてや労働時間の短縮が期待できることについては、全く触れられていません。

提言がタイムカード導入に期待しているのは、「集計システムが直ちに構築される」ことでしかなく、つまり、教員勤務の管理強化です。

教員が長時間労働をしているのは、長時間でなければ片付かない仕事があるからで、その仕事量自体が減らなければ、長時間労働の問題は解消しません。

この様な状況の中で、「タイムカードを導入して退校時間を厳しく守らせろ」というのですから、教員は仕事を自宅に持ち帰ってやるしかありません。

校長や教育委員会など管理する側だけは、長時間労働による過労死が起きたとしても、「タイムカードの記録では長時間労働にはなっていない」と自らの責任は回避できますが、長時間労働の解消にはなりません。

そして、過労死で残された家族が「公務災害」を訴えても、タイムカード記録を理由に、ますます認定されにくくなることは必至です。

さて、誰のための、何のための「タイムカードの導入」なのでしょうか。

教員の働き方改革に直球勝負。