学校教育の要諦

※※※8月30日(水)※※※

去る28日、文部科学省から本年度の「学力テスト」の結果が公表されました。 このテストは、全国の小学6年生と中学3年生、約200万人が参加して行われたものです。

結果から言うならば、滋賀県の成績は全国45番という現状で、ほぼ最下位にランク付けされます。 この記事を目にするたびに、思い出す人と言葉があります。

すぐ役に立つ人間は、すぐ役に立たなくなる」 これは、明治生まれの工学者・谷村豊太郎氏の言葉、正に「至言」と言うべき言葉です。

即戦力」となる人材がほしいと大学に迫る財界人らに対して、気骨ある教育者で知られる谷村氏は冒頭の言葉で切り返しました。

谷村氏は、海軍の技術将校を経て1939年、藤原工業大(慶応大理工学部の前身)の初代工学部長に就いき、基礎の徹底と人格向上を工学教育の柱に据えました。

「時流を追うだけの知識や技術はすぐに色あせる。 時代に左右されない基礎理論を習得してこそ応用力が生まれる。 同時に工学が兵器を生む怖さも忘れてはならない」という教育哲学を貫きました。

昨年、政府は志願者の増加を目的とした大学の学部・学科の改廃や文系学部不要論を展開したり、東京一極集中の是正に向け都心の大学の定員を抑制すると言い出すなど、相次ぐ入試制度の見直しを公表しています。

大学教育とは何か、そもそも学問の自由や大学の自立精神が揺らいでないかなど、肝心の議論を抜きにした制度変更ばかり、大学教育は迷走しています。

目先の利に走らず、地道に人を育て、時代の変化にも耐えうる技術や製品を生み出していくこと」 谷村氏の戒めを政府や大学関係者、企業経営者は今一度噛みしめなければなりません。

そして、私たちも、小さな学力の点数に一喜一憂せず、芸術やスポーツ、何より物事をしっかり考えられる子供の育成を目指して、「コツコツ育てましょう、滋賀の子供達」。

物事の真理に直球勝負。