埋もれぬ心境

※※※3月3日(金)※※※

例年3月3日は、「桃の節句」ひな祭りですが、歴史好きの私にとっては 井伊 直弼 の命日、ご存じ「桜田門外の変」が起こった日(旧暦)です。

1860年3月3日、季節外れの大雪の朝、水戸藩・薩摩藩の脱藩浪士18人が登城中の大老、井伊直弼の一行を桜田門外(現在警視庁前の内堀通り)で襲撃しました。

直弼には60人余りが付き従っていましたが、雪除けの厚着、刀にも布が被せてあったために対応が遅れたとも言われています。

この暗殺の原因は、幕末の 開国 攘夷 倒幕 尊皇 というキーワードがめまぐるしく組み合わせを変える社会情勢の中で行った直弼の「安政の大獄」です。

これをきっかけとして、幕末は流血の連鎖を繰り返して行きます。 吉田松陰や坂本龍馬の暗殺もこの流れの一環です。

直弼は高い理想もつ文武の達人でありながら、井伊家の14男で庶子ということで悲哀を経験しています。 やっと大老となったにも拘わらず、「安政の大獄」で歴史的な評価は散々です。

しかし、私は中学生の頃より、何やら井伊直弼に惹かれていました。 NHK大河ドラマの第1回作品が「花の生涯」(船橋聖一)だったことも、影響しているのかもしれません。

彼は不遇をかこっていた17歳から32歳までの15年間を、自ら名付けた「埋もれ木の舎」という場所で過ごしています。

ここで過ごす彼が感じていた「じくじたる想い」に、何故か惹かれ、高校、大学時代に1回づつ、最近では平成16年の秋に、「埋もれ木の舎」に行っています。

平成11年から平成23年までは、私の人生の中でも、相当きつい時期でしたが、中でも平成16年は最もきつい時期でした。 その時に、行ったのは、正に次の歌の心境からです。

世の中を 横に見つつも 埋もれ木の 埋もれておらむ 心なき身は

埋もれておらぬ心境に直球勝負。