トランプと三方良し

※※※2月6日(月)※※※

米国新大統領ドナルド・トランプ氏の過激で短絡的ともいえる大統領令が矢継ぎ早に署名され、世界中が大騒ぎとなっています。

したり顔の評論家は、「所詮、トランプ氏は企業人、商売人であって政治家ではない。 損得だけ考えて政治哲学や倫理観がない。」と解説しています。

しかし、私はこの手の解説を聞くたびに「おいおい、商売人を見くびるな」と思ってしまいます。 何故ならば、滋賀県には、近江商人の説く「三方良し」という考え方があるからです。

三方良し」とは、「売り手・買い手・世間」の皆にとって、「お互いにとって利がある」ということです。 つまり、誰か一人だけ得することなく、皆にとって良いという思想です。

例えば、「売り手」が自分の利益だけを考え、「買い手」の状況を考えないで商品を売りつける様な目先の商売をすれば、買い手をつぶすような事になり、結局、自分が窮地に陥ります。

相手の状況を考え、細く長く付き合うことで、お互いが長期的な利益を得る事こそ「商いの極意」、そして、得られた利益を地域の発展のために拠出し、地域を潤すことで、地域、つまり世間の信用を得ることで商売を好循環させてゆくことが大切であるという「商い上の倫理観」です。

言い換えれば「先義功利栄(せんぎこうりさかえ)」、「利を得ようとするならば、先ず、義を尽くし、信用を得ること」ということです。

例えば、急に車の調子が悪くなった時、ガソリンスタンドAは、無料で親切に検査してくれ、ガソリンスタンドBは、ガソリンンも入れない客には何もしてくれませんでした。

しかし、この先、このお客はガソリンスタンドAでガソリンを入れることになります。 先ずは、油を売らずに、「信用」を売ることなのですね。

結論です。 商売人といえども、否、商売人だからこそ、自分だけのことを考えずに、相手や世間の事を第一に考えるものなのです。

トランプは、「米国一国主義」を唱え、「米国のみの利益」を優先していますが、米国にとっての長期的な利益を考えるならば、米国だけでは無理だと言うことを理解すべきでしょう。

「トランプは、政治の世界に企業の論理を持ち込み、けしからん」という、知識もなく、意識の低いことを言う評論家に、トランプのことをとやかく言わないで欲しいものです。

何なら、私がトランプ氏に「三方良し」の精神を説きたいものです。

三方良しの精神に直球勝負。