はるかなるもの

※※※11月14日(月)※※※

最近、私が最も感銘を受けた文章です。 公益社団法人 滋賀県手をつなぐ育成会、「今こそ、この子らを世の光に」編集委員会 金子秀明氏の文章から。

2011年3月に起きた東日本大震災は、便利さや物質的な豊かさを追い求めてきた私たちの暮らしの在り方を、一旦、立ち止まり真剣に考え、この国の在り様について真摯に向き合わせることになりました。

その中から、人と人の繋がりこそが何よりも大切であることを思い知らされ、この意味を込めて「絆」という言葉を共有することになりました。

そして、2016年7月、人と人が紡ぐ「共生」の絆に大きな傷を与える、「津久井やまゆり園」での大量殺傷事件が起きました。

障がい者入所施設で19人もの尊い命が奪われたこと、加害者がその命を守るべき立場であった元職員という事実が、私たちに大きな衝動を与えました。

さらに、加害者の「障がい者はいないほうがいい」という趣旨のコメントが、多くの人々の胸の奥深く突き刺されました。

全国で展開されている「共生社会づくり」への熱い思いいに、黒く冷たい水がかけられたのです。

滋賀の福祉実践的礎を築いた糸賀一雄氏は、敗戦後の混迷の中で、「教育こそ、この国の再生の力である」と確信されました。

そして、一人のもれもなく、全ての子らへの教育を願い「この子らを世の光に」と弛まぬ実践を展開されました。

貧困や様々な生きづらさを自己責任として個人の問題に矮小化されがちな今日にあって、50年後、100年後の検証に耐えうる創造的な実践とは、困難な中でこそ試され、磨かれながら、これからも脈々と受け継がれて行く、「(はるか)なるもの」に違いありません。

着実な実践に直球勝負。