右傾化する日本政治

※※※11月12日(土)※※※

TPP法案が衆議院で可決されました。 TPP法案は条約法案ですので、参議院の審議を問わず、衆議院通過後30日で自然可決されます。

9日から11日に実施された県外調査の移動の車中で、政治学者の中野晃一上智大学教授が書かれた『右傾化する日本政治』(岩波新書)を読みました。

同著にいわく、「戦後長らく続いてきた日本の保守政治は、近年その内実を根本的に転換した。

即ち、1955年の自民党結成から1980年代初頭まで、保守権力は経済成長を実現する開発主義と、その果実を工業ほどには近代化できない領域、つまり農村に分配する恩顧主義、という二つの柱に依拠して安定を実現していた。

しかし、バブル経済の崩壊に象徴されるごとく、永遠の経済成長の夢が終着駅に到着しとき、この構造は維持し得ないものとなった。

保守権力は、グローバル市場経済の侵略を促進する新自由主義と、それによる痛みを観念的に解消する国家主義、という新しい二本柱に依拠する方向へと舵を切ったのだ、と中野氏は分析している。

自民党政治の変質とは、より簡潔に整理するならば、こういうことであり、その方法に批判はあったものの、かつての自民党は「みんなを何とかして食わせる」ことを真剣に追求していた。

しかし、上述の転換以降の自民党は、もはや『みんなを食わせる』という目標を放棄しているのである。

『みんなを食わせる』ことを実現していることが自民党の存在理由だったのに、それを実行する能力がないのならば、彼らは潔く自ら身を退くべきである」と辛らつに書いています。

グローバル資本に有形無形の国富を切り売りすること(TPPに代表される新自由主義政策)によって、これまで維持してきた権力をさらに保持し続けること、有権者に対するその場しのぎの虚言を弄してまで、この度のTPP法案は通されたということを忘れてはなりません。

右傾化する日本政治に直球勝負。