オオカミ少年の論

※※※6月14日(火)※※※

「安保法案(=戦争法)は違憲」という意見に対して、「安保法案に賛成」する人々は、しばしば、「憲法を守って国が滅んでも構わないのか?」という反論が返ってきます。

「安全保障環境の激変」(例えば、中国と北朝鮮からの軍事的脅威の切迫化)という現実を前にして、米国との軍事同盟が憲法に違反しているといって手をこまねいていたら、その間に国が軍事侵略されて滅んでしまうが、それで良いのか? という主張です。

しかし、冷静に客観的に考えてみたら、この主張は論理が飛躍していることに気が付きます。

中国が過去に侵略に成功した相手は、内モンゴル、ウイグル、チベットといった事実上の非武装地域だけで、台湾、ベトナム(つまり日本も)といった「専守防衛」に徹している国には手を出していません。

しかも、現在、日・中・米3国は経済的に深く依存し合っており、戦争をしたらどの国も一緒に国力が急落してしまう関係にあります。

中国は、国内統制の必要と太平洋に対する野心から、歴史的・法的に全く根拠のない尖閣諸島の領有権を声高に主張しています。

しかし、専守防衛に徹してきた日本国の領土の一部を軍事侵略して無事に済む成算など立っていないのが現状ではないでしょうか。

この様な現実を直視せず、「オオカミが来る」かの様に言いふらし、危機感を募る手法は、過去に使い古された危険な手法です。

オオカミ少年に直球勝負。