女人禁制の歴史①

※※※4月10日(火)※※※

去る4日に舞鶴市で行われた大相撲の春巡業で、挨拶をしていた市長が意識を失い土俵上で倒れた緊急事態に、看護の資格を有する女性が土俵に上がり救命処置に当たりました。

これに対して、「女性の人は土俵から降りてください、男性が上がってください」というアナウンスが繰り返し流されました。

このアナウンスは、混乱する最中で若手の行司が咄嗟に行ったとされ、相撲協会の八角理事長は、同日中に「不適切だった」などと謝罪のコメントを発表していました。

命の危険が危ぶまれる緊急事態にも関わらず「あまりにも場違いだ」と批判の声が殺到し、改めて「女人禁制」が話題となっています。

そこで、日本の社会に今もなお残る「女人禁制」について、考えてみました。

〇日本の信仰や風習で女人禁制とされている(されていた)場所・事象

◇仏教・山岳修験道系

富士山 – 江戸時代後期より解禁 立山白山比叡山 - 明治5年より解禁 御嶽山 – 明治10年頃より解禁 高野山 – 明治37年より解禁 出羽三山  – 平成9年より解禁

石鎚山 – 現在はお山開きの7月1日のみ女人禁制 大峰山山上ヶ岳 – 山体全域が対象で、登山道には大きな看板が立つ。反対運動あり。

神道系やその他の山岳信仰系

沖ノ島 – 男性でも上陸時に精進潔斎が必要 屋久島宮之浦岳など島中央部の奥山は女人禁制とされていた。

神道系の祭

田名部まつり青森県むつ市) – 近年、女性がヤマを曳くことは許されているが、基本的には女人禁制であり、ヤマに乗ることは許されていない。

祇園祭京都市)の山鉾 – 一部の山鉾には女性の囃子方がいるが、巡行の先頭に立つ長刀鉾などは女人禁制である。

博多祇園山笠福岡県) – ただし小学生以下の女児は男性同様の扮装(締め込み)で参加を認められる。

岸和田だんじり祭 – 女性がだんじりを曳くことは許されているが、だんじりに乗ることはできない。

◇女人禁制とされている(されていた)芸能

歌舞伎 – 歌舞伎の創始者とされているのは女性であるが、各地で歌舞伎劇と売春を兼ねる集団が出現するなど風紀上の問題から、女人禁制となり、現在に連なる男性のみとなった。

能楽能楽協会への女性能楽師の加入は1948年に認められた。

〇女人禁制は堅持すべきとする意見

女人禁制は男性の修験者が性欲に惑わされること無く修行するために存在する制度であり、女性には稲村ヶ岳が女人大峯として提供されており、男尊女卑などの差別を推進する意図はない。

このような性別による隔離は修道院など他の宗教でも一般化しているだけでなく男子校や女子校、またトイレなども含めて世界共通である。

宗教的な一例として同じ世界遺産であるアトス山正教会修道院として1406年以降は法令によって女人禁制となっている。

日本には沖縄の御嶽久高島の御嶽のように男子禁制の地域も存在することから、女人禁制の地域のみを批判の対象とする行為は、男女平等の理念に反する。

女人禁制に直球勝負。