家庭教育支援法の本質

※※※1月18日(木)※※※

保護者が子に社会との関わりを自覚させ、人格形成の基礎を培い、国家と社会の形成者として必要な資質を備えさせる環境を整備する。

これは、政権与党が議員立法で成立を目指す予定の「家庭教育支援法案」の趣旨だそうです。 核家族化など家族をめぐる環境変化での公的支援のためと謳っていますが、何やら胡散臭い意図が見え隠れしています。

これと同じ様な法案に、「家生活は常に国家活動の源泉」として、子どもの「健全育成」を親に要求し、国民を戦争に総動員するための法案「戦時家庭教育指導要綱」(1942年に発令)があります。

この法案は、「相互扶助」という名目で「隣組制度」がつくられ、地域住民は各家庭で国家が求める「教育」が徹底されているかを見張り合ったという代物です。

また、この法案の中では、地域住民の「責務」として、「国と地方公共団体が実施する家庭教育支援に関する施策に協力するよう努める」とされています。

故に、「家庭教育支援法案」の狙いも、国家に従順な子を育て、国民を「イエスマン」に仕立て上げ、戦争でも何でもできるような体制づくり法案ではないかと指摘されています。

「家庭教育支援」というなら、奨学金や育児のインフラ整備など教育しやすい環境を整えるのが先ですが、そういう必要な支援はせず、親に委ねられるべき教育の中身に政府が介入し、国家にとって都合の良い人材育成を親に押し付けているとしか言えません。

つまり、この支援法は国家が家庭内教育をコントロールして、国家に都合が悪い人材をできるだけつくり出さないためのものだと言えます。

さらに、政権与党の改憲草案24条1項の規定には、「家族は互いに助け合わなければならない。」との記述があります。

しかし、これって、法律で定めることでしょうか? ましてや、日本国の最高法規であり、時の権力者を縛るための憲法で規定する様なものでしょうか?

家族は互いに助け合わなければならない。」 この精神は重要な事ですし、尊重されるべきものです。 しかし、これは「道徳」であり、法で規定されるものではありません。

例えば、最上位法である憲法が、「家族は助け合わなければならない。」と規定すると、助け合わずに「離婚」した者は、「憲法違反」ということになります。

また、憲法は国民に対して直接適応されるものではありません。 そこで、新たに第24条の規定を受け、国会は「離婚取締法」を制定しなければならなくなります。

常識的には「夫婦は仲良く助け合うべき」という理想も、現実的に破綻した婚姻関係においては、離婚する方が合理的であり建設的です。 現在はそれが一般的です。

法は道徳に介入せず。」の原則を無視したような発想自体が、今の政権与党の持つ限界だと感じられてなりません。 かくして、歴史は繰り返されます。

天下の悪法に直球勝負。