天下の悪法成立

※※※5月19日(金)※※※

本日、「組織犯罪処罰法改正案」が衆院法務委員会で強行採決されました。

いわゆる「共謀罪」の成立要件を改めた「テロ等準備罪」を新設する「組織犯罪処罰法改正案」を審議した今日の衆院法務委員会で、自民、公明両党と日本維新の会は審議時間が「目安」となる30時間に達すると、野党の反対意見に耳を貸さず、最後は数の力で押し切るという暴挙で成立させました。

確かに国際的なテロの多発の現状に対しては、早急かつ適切な法的対策を講じることは極めて重要なことです。 日本国民誰一人として、この方針に異を唱える人はいません。

しかし、こんな分かりやすい多くの問題点を含む法案を、「テロ対策」という切り口だけで成立させようとする自民・公明・維新などの政治家の姿勢は、異常としか思えません。

この法案は、①テロ対策を口実に、プライバシーや表現の自由を著しく侵害する法案、  ②政府や時の権力に反対する声を抹殺する言論やデモを封じるための法案、 ③国家による監視社会を作る法案です。

そしてで、最も懸念されることは、これらの規制強化により、日本の民主主義が崩壊する可能性があることです。 正に、このままでは「戦後社会」が「戦前社会」に舞い戻る可能性があるものです。

今回、政府がこの法案成立の最大の根拠としていたことは、「2000年に国連で採択され、国会で承認した国際組織犯罪防防止条約で定められた義務を果たす」という大義名分です。

しかし、このことについては、日本では「銃刀法」、「ハイジャック防止法」、「内乱予備罪・内乱陰謀罪」、「サリン等による人身傷害防止に関する法律」などで十分対応できることは明白です。

また、国連のプライバシーの権利に関する報告者である※ケナタッチ国連特別報告者は19日までに、「この法案は、プライバシーや表現の自由を不当に制約する恐れがある」と懸念を示す書簡を日本政府に送っています。

その根拠として、① 対象となる犯罪が幅広く、テロや組織犯罪と無関係なものも含まれる可能性があること。 ② 法案にある「計画」や「準備行為」の定義があいまいで、恣意(しい)的に適用される可能性があること。 ③いかなる行為が処罰の対象となるかも明記されておらず問題があることを挙げています。

(※特別報告者は、特定の国やテーマ別の人権状況について事実調査・監視を実施。 ケナタッチ氏はマルタ出身のIT法の専門家で、2015年に国連人権理事会により任命された人物。)

「悪いことを計画したら、計画した段階で取り締まれる」ということならば、森友学園や加計学園の件で悪だくみをした人たちは皆、アウトでしょう。

天下の悪法に直球勝負。