アニサキス症とは

※※※5月17日(水)※※※

アニサキス」という言葉が話題となっています。 そこで、どんな感染症か勉強してみました。 (出典:六訂版 家庭医学大全科から)

①どんな感染症か ・・・ イヌ糸状虫症しじょうちゅうしょうイヌ回虫症かいちゅうしょう顎口虫症がくこうちゅうしょうとなどと同様に、「幼虫移行症」のひとつです。

アニサキスは回虫の仲間で、成虫はクジラやイルカの胃に寄生しています。 幼虫はイカ類やサバ、アジ、イワシなどの内臓表面や筋肉内に寄生していています。

ヒトはこれらを生食して感染し、長さ2~3cmの幼虫がヒトの胃壁や腸壁にもぐり込んで症状を引き起こします。 胃アニサキス症と腸アニサキス症があります。

アニサキス症は比較的寒い時期に多く、冬の食中毒のひとつと考えてよいものです。

②症状の現れ方 ・・・ 新鮮な海産魚類を食べて3~4時間後に、突然、激しい腹痛、吐き気・嘔吐が襲います。 半日以上から、長い時は1週間くらいたって腹痛に見舞われることもあり、この時は胃ではなく腸に虫が侵入していると考えられます。

一部の人には、じんま疹のような発疹やかゆみが現れることがあり、アニサキスに対するアレルギー反応だと考えられています。 実際、いわゆるサバアレルギーの人を調べたところ、原因はサバではなくアニサキスだったという報告があります。

③検査と診断 ・・・ 胃アニサキス症であれば内視鏡で虫を確認してつまみ出すことができますが、腸アニサキス症では虫を見つけるのは困難で、X線や超音波検査で小腸を調べます。

まれに、虫が腹腔や胸腔、さらにほかの臓器に入り込んでイヌ回虫症と同じような症状を起こすことがあります。

④治療の方法 ・・・ 胃アニサキス症の場合、内視鏡で虫をつまみ出した瞬間、嘘のように痛みが消えます。 もっとも、アニサキスは人体中では1週間程度で死んでしまうので、虫を摘出できなくても対症療法だけで治ります。

⑤対応方法 ・・・ 発症はたいてい夜中です。 新鮮な海産魚類を食べて3~4時間後に急におなかが痛くなったら、消化器内科専門の医院か消化器内科の当直医師のいるような総合病院を受診してください。 重症になると、緊急を要するほかの病気とすぐには区別できないため、内視鏡専門医と消化器外科医のいる総合病院の受診が望まれます。

しばらくはお刺身を我慢しようと思わずにはいられません。 皆さんもご用心、ご用心。

アニキサス感染症に直球勝負。