リビングウェル

※※※5月13日(土)※※※

先日、奈良県立総合医療センターを訪問させて頂いた時、「リビングウェル」という言葉の意味や意義、問題点について意見交換させて頂きました。

リビングウェル」とは、直訳すれば「生前の意思」という意味です。

近年の医療技術の著しい発展は、自然な形で「」を迎えることを難しくしています。 言い換えれば、医療技術により個人の意思に反して、無理やりにでも生かされる時代だといえます。

そこで、「リビングウェル」と言う言葉は、人生の終末期にある人が「延命措置を受けるか、拒否するかの意思をあらかじめ明確にした書面」のことを指します。

現状では、延命措置を控えて欲しいという言う人が多いことから、日本尊厳死協会では、「尊厳死の宣誓書」と呼ばれているとのことでした。

一方、問題点としては、救急隊員の16%が心肺蘇生などを希望しないケースに遭遇したと報告があります。

つまり、本人の延命措置拒否の意思やそれを知る家族から、心肺蘇生などを拒否されて救急隊員がその対応に苦慮すると言うケースの多発です。

延命措置拒否の意思が示されたとて、助かる可能性がある患者を目の前にして、救急隊員が何もしない訳には行かないことは十分に理解できることです。

そこで、日本臨床緊急学会は、患者の望まぬ蘇生の中止までの対応手順の指針を作成し、救急隊員はこれに基づき行動することになりました。

患者本人や家族からリビングウェルを伝えられても、先ず、①心臓マッサージを実施し、その後、②主治医に判断を仰ぐ、というものです。

超高齢化社会を迎えている我が国、高度医療技術を有する我が国において、「寿命が尽きているのに生かされる」ことの矛盾と残酷さの現状について学ぶことができました。

「死生観」という言葉がありますが、生と死は表裏一体です。 早い段階での「リビングウェル」表明が、自己の真剣な生き方に繋がるということなのでしょうか。

真剣な生き方に直球勝負。