ご都合主義の極み

※※※5月10日(水)※※※

かつて、自民党が野党時代、旧民主政権が2010年にスタートさせた「公立高校授業料無償化」について、「理念なき選挙目当てのバラマキ」と断言していました。

「将来の子供たちにツケを回している」、「財政破綻国家に転落する」と批判し、政権奪還後の2014年には、「高校授業料無償化」に所得制限を設けて内容を後退させてもいます。

また、「公立高校授業料無償化」に加え、「子ども手当」、「高速道路無料化」、「(農家への)戸別所得補償」の頭文字を取り、「バラマキ4K政策」とも主張していました。

その文言は、現在でも自民党の公式ホームページ内にしっかり残っている様です。

それが、あろうことか、安倍首相は自民党総裁として話したと言うビデオの中で、党とも摺合せしていない唐突な「憲法改正提案」と共に「高等教育までの無償化」を打ち出しました。

現行憲法は26条で義務教育(小中学校)の無償化が謳われていますので、大学・短大も含む「高等教育も」と無償範囲の拡大を匂わせましたが、まさに、殿の御乱心としか言えません。

安倍首相は今年1月、国会での施政方針演説でも「憲法が普通教育の無償化を定め、義務教育制度がスタートした。 高等教育も全ての国民に真に開かれたものでなければならない」と述べています。

この背景には、同趣旨の改憲案を唱える日本維新の会を抱き込む狙いがあるとも言われていますが、そもそも自民党は教育について逆の主張を展開してきました。

この変節について、ビデオメッセージでは「(憲法施行から)70年の時を経て、社会も経済も大きく変化した」と語るのみで、これまでの党の主張との整合性には何の言及もありません。

また、その財源の規模やどこから持って来るのかの説明もありません。 只々、憲法改正のために日本維新の会の主張に乗っただけの「党利党略」、「ご都合主義の極み」です。

ちなみに、憲法改正の是非を問う国民投票は、衆院法制局の試算で1回で約850億円かかるとも言われています。

不要な改憲で国民投票をするくらいなら、そのお金を教育無償化の財源に回した方がいい」(首都大東京:木村草太教授)

野党時代の主張を説明もなく覆すのは、まさにご都合主義」(政治アナリスト:伊藤惇夫氏)

自民党が野党時代の主張との整合性も含め、先ずはきちんと説明すべきではないでしょうか。

究極のご都合主義に直球勝負。