甲子園21世紀枠

※※※1月28日(土)※※※

昨日、第89回選抜高校野球大会の出場校35校(21世紀枠3を含む)が決まり、本県からは、2年連続2回目の出場となる滋賀学園高校が選出されました。

また、注目の21世紀枠では、中村(高知)、多治見(岐阜)、不来方(こずかた:岩手)の3校が選出されました。

この21世紀枠は、2001年の第73回大会から採用されている制度で、当時は21世紀に入ったことを記念し、一時的に採用される特別枠とされていた様に記憶しています。

しかし、今では、21世紀枠はすっかり定着し、2008年からは2枠から3枠に増枠して行われています。

普段、実力だけではなかなか勝てない高校の出場は、新鮮味があり、「選抜大会」を謳っている以上、大会自体にそうした特色があっていいとさえ思います。

さて、この21世紀枠に関連して起きた大事件に島根開成(島根)高校野球部の監督であった野々村直通氏の「末代までの恥、切腹もの」舌禍事件があります。

野々村氏は、私が広島大学に入学し、野球部の門を叩いた時の4年生にして主将を務められていた先輩でした。 強面な外見とは裏腹に、純粋で後輩思いの人情に厚い人柄でした。

その野々村氏が、島根開星高(島根)を率いて、2010年の選抜に出場されましたが、1回戦で21世紀枠で選ばれた向陽高(和歌山)と対戦し、1-2で惜敗しました。

その際、野々村監督は、「(中国地区一位校が、21世紀枠の学校に負けるとは末代までの恥。 切腹したい」と発言して、世間からバッシングの嵐を受けました。

ましてや、頭は角刈りでパチキ(そりこみ)の強面、サングラスに町のチンピラ風の出で立ちとくれば、恰好のマスコミの餌食となり、野々村は一旦監督を退くはめになりました。

21世紀枠には大まかな選考基準があり、一定の成績を残した上で、環境的な困難を克服した学校や、文武両道を実践している進学校が選ばれることが多くあります。

これは、21世紀枠とは全く縁のない甲子園常連校にしたら、その分一般枠が減るし、その上甲子園で対戦し、負けようものなら立つ瀬がないという気持ちも湧いてきます。

野々村氏にしてみたら、「中国地区を制し、中国地区の代表校」という自負があったからこそ、「出場できなかった学校に対して申し訳ない」という、正直な気持ちを吐露されたものでした。

私を含めて、野々村氏の純粋で愚直な性向をよく知る者なら、いかにも言いそうだなと微笑ましくさえ思えるのですが、世間からすれば、氏の発言には相当な驚きを覚えられた様でした。

個人的には21世紀枠には賛成ですが、3校は多いような気がしますし、選考基準等も再考の余地があるように感じます。

野々村氏が21世紀枠に投じた正直な心情は、全国で日々精進努力する球児や指導者の心情でもありますから。

21世紀枠に直球勝負。