「密告フォーム」考

※※※7月21日(木)※※※

自民党は、党のホームページで募集していた「教育現場の政治的中立性を逸脱するような不適切な事例の調査」を18日付で終えたことを、20日の党文部科学部会で報告したと報道されています。

この調査については、まるで教員に密告を促すようなものであると同時に、その目的文についても問題が指摘されていたいわく付きのものです。

元教員の私としても、この様な卑劣極まりない動きや行為を看過する訳にはゆきませんので、以下、その問題点を書き留めておきます。

(1)自民党は6月25日、党のHPに「教育現場には教員の政治的中立はありえないと主張し中立性を逸脱した先生方がいることも事実」と記載した上で、具体的な情報を所定の欄に記入するように募集していた。

①教育現場の中には「教育の政治的中立はありえない」、あるいは「子供たちを戦場に送るな」と主張し中立性を逸脱した教育を行う先生方がいることも事実である。

②学校現場における主権者教育が重要な意味を持つ中、偏向した教育が行われること、生徒の多面的多角的な視点を失わせてしまう恐れがあり、高校等で行われる模擬投票等で意図的に政治色の強い偏向教育を行うことで、特定のイデオロギーに染まった結論が導き出されることをわが(自民)党は危惧している。

③「子供たちを戦場に送るな」というのは、政治的中立を逸脱しているので、そんな発言をした「先生方」は自民党に報告してほしい。

そう呼びかけるツイートに批判が殺到し、中でもその批判の的となっていた「子供たちを戦場に送るな」の部分は、次の様に差し替えられました。

(2)学校教育における政治的中立性の徹底的な確保等を求める提言を取りまとめ、不偏不党の教育を求めているところですが、教育現場の中には「教育の政治的中立はありえない」、あるいは「安保関連法は廃止にすべき」と主張し中立性を逸脱した教育を行う先生方がいることも事実です。

このHPは文言修正後も、インターネット上では「密告フォーム」と名づけられ、「自民党は密告奨励」、「政治的中立性を自民党に都合の良い意味にする」等、批判の声が上がっていました。

自民党のHPで、中立性を逸脱している例として上げていた「安保関連法は廃止にすべき」の文言を、結局、7月9日に消した上で調査は行われました。

寄せられた情報の真偽については「部会内で検討する」とし、参考資料として活用する意向を示すと共に、政治的中立を逸脱した教員の処分について「現行法令では十分な抑止力となっていない場合もある」として、教育公務員特例法改正による罰則が可能かどうかを検討している様です。

この様な動き自体が、高圧的な傲慢さを示すものです。 あんたらには、「道徳」やら「政治的中立」を言われたくないというのが私が言いたいことです。

密告社会に直球勝負。