彦根翔陽高校での委員会調査風景
本日行いました文教警察常任委員会の県内調査で、彦根西高校を訪問した時、委員の一人が古い伝統を誇る同校の校歌について尋ねられました。 学校が持つ、教育的な機能だけではない、人としての精神的な機能についての鋭い指摘だと感じましたので、今日は、私の教員生活の「校歌」についての思い出を綴ります。
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滋賀県立八幡商業高校校歌 (明治40年11月1日制定) 作詞:土井晩翠 作曲:東京音楽学校・楠美恩三郎
「漣(さざなみ) 清き におの海 、その八景の 岸近く、 敷ける 教えの 庭の中(うち)、 望み溢るる 青春の 健児 日毎の 勤しみ(いそしみ)は、 邦(くに)と民との 富みの道」 お馴染み、八商の校歌です。
例年、私の新入生に対する授業は、この校歌の説明から始まります。 学校創立の歴史や建学の精神、校歌の歴史や作詞・作曲者の紹介に続き、歌詞の説明、校歌が歌い上げる精神について解説します。
1番の歌詞に「漣」、「におの海」、「八景」などの歌詞が出てきますので、八商は、明治31年3月に「滋賀県商業学校」として、大津市で開校されたこと、だから、大津市周辺の風景が歌われていることを紹介します。 そして、滋賀県人なら知っておいて欲しいとの願いを込めて、「八景」(近江八景)について話します。
「近江八景」
※ 石山の秋月(しゅうげつ) ・・・ 石山寺から見る秋の月
※ 勢多の夕照(せきしょう) ・・・ 瀬田の唐橋(からはし)から見る夕日
※ 粟津の晴嵐(せいらん) ・・・ 粟津原の草木を揺らす春の嵐
※ 三井の晩鐘(ばんしょう) ・・・ 三井寺から時を告げる鐘の音
※ 唐崎の夜雨(やう) ・・・ 唐崎神社の松林に降り注ぐ夜の雨
※ 堅田の落雁(らくがん) ・・・ 堅田の浮見堂周辺の湖面に下る鴨の群れ
※ 比良の慕雪(ぼせつ) ・・・ 比良山系の残雪が輝く夕暮れ
※ 矢橋の帰帆(きはん) ・・・ 漁を終えた船が並ぶ矢橋(やばせ)港
自分達が住む故郷・滋賀、自分達が学ぶ学校の歴史や魅力を知ることで得られる、心の豊かさを大切にしていました。 決して無駄な時間ではなく生徒指導上でも有意義な授業だったと自負しています。 教育は、学問・技術を学ぶだけではありません。「生きる力」、「生きる意味」、「生きる誇り」を様々な観点から、学び、体験し、心に刻み込む、「人間力」を育む行為です。 本日の学校視察でつくづく、そう感じました。
「もののふの 矢橋の船は 早くとも、 『急がば廻れ』 勢多の長橋」
武士が戦のために京都に入る時、草津の矢橋港から船で京に行く方が早いし楽だけど、そういう時に限り、嵐や事故でうまく行かないものだ。やはり、手間でも、徒歩で瀬田の唐橋を通って京に入ることが大切だ。(急がば廻れの語源) 正に、教育に「近道」・「王道」はありません。
久々の講義に直球勝負。

