柔剣道の追加採用

※※※3月31日(金)※※※

文部科学省は、本日(3月31日)付けの官報で、2020年度以降に実施する小中学校の次期学習指導要領を告示しました。

この中で、中学校の保健体育で必修の武道の例として、柔道や剣道など8種目に加え、木銃を使って相手を突く「銃剣道」を追加しました。

銃剣道(じゅうけんどう)とは、旧日本軍において訓練されていた銃剣術を、太平洋戦争後に競技武道化したもので、木銃(もくじゅう)を用いて相手の喉、胴などを突き合う競技です。

日本式銃剣術の制定 
銃剣道(wikipedia)銃剣道(じゅうけんどう)

「武道」には、「剣道」、「柔道」、「空手道」などがありますが、これらは元を質すと全て戦うための技であり、武術の訓練です。

そもそも、これらの武術は修行者のたゆまぬ努力と歴史的試練を越え、精神性を獲得し、理論武装を整えて「武道」へと昇華してきました。

しかし、その武道でさえ、第2次世界大戦後は、軍国主義や日本人の精神性と大きく結びつくスポーツとして、教育の場での扱いについては慎重な配慮がされていました。

私が中学生、高校生の頃は、体育授業でも「武道」とは表現されず、「格技」とされ、これらを行う場所も「武道場」とは呼ばず、「格技」、あるいは「柔剣道場」と呼んでいました。 

この様な歴史的経緯を顧みず、また、「突き」競技の危険防止策も含めて、問題がありすぎる「銃剣道」を指導要領の中に入れてくる発想とはいかなるものでしょうか?

地域の特性を考慮して採用したとの事でしょうが、何でも採用すれば良いというものではありません。

「道」という名を付けることもはばかれる競技であることに加え、「銃剣道」を指導できる教諭が全国に二人しかいない(月刊武道2016.4)という現実があります。

文科省はこれを直ちに撤回すべきだと考えます。

銃剣道の本質に直球勝負。