ノロウィルス予防

※※※12月29日(金)※※※

厚生労働省によると、昨年の「ノロウイルス」による食中毒の発生件数は354件、患者数は11、387人で、食中毒の原因物質としては、どちらもトップでした。

そこで、毎年冬になると猛威をふるう「ノロウイルス」について、北里大学北里生命科学研究所の片山和彦教授の講演「ノロウイルス 研究の進展で見えてきた本当の姿」からです。

①ノロウイルスが流行・感染する原因

ウイルスは細菌と違い、生物の細胞の中でしか増殖できず、たとえ栄養を与えても、自分だけでは増えることができない。 だから、ノロウイルスも、低温や乾燥には強いものの、生き物の細胞の外で増殖することはできない。

ノロウイルスが住みつくのは腸の中で、酸に強いので胃酸に耐えて腸まで行って増殖し、激しい下痢や嘔吐を引き起こす。

感染者の便の中には、耳かき1杯くらいでも1億個以上のノロウイルスがいる。 鼻や口から100~1000個のウイルスが体内に入ると感染する。

②ノロウィルスの感染経路

(1)食品から人へ(食中毒)。 下水を通じてカキなどの二枚貝にノロウイルスがたまっていることがあり、これを生や加熱不十分で食べることで感染する。

(2)人から食品を介して人へ(食中毒)。 感染した人が調理した食品にウイルスが付着し、それを食べた人に感染する。

(3)人から人へ(感染症)。 感染した人の便や嘔吐物に触れることで、ウイルスが鼻や口から消化管に入って感染する。

厚生労働省によると、昨年のノロウイルスによる食中毒の発生件数は354件、患者数は11、387人。 食中毒の原因物質としては、どちらもトップだった。

③ノロウイルスの予防

ノロウイルスには、石けんや消毒用アルコールがほとんど効かないし、ウイルスの粒子は細菌よりも小さいので、普通のマスクならすり抜けてしまうことから、普通のマスクや手洗いは予防法として意味がない。

しかし、「手洗い」は予防の基本である。 石けんにウイルスを殺す働きは期待できないが、流水で洗い流すことに意味がある。

石けんを使うことで、少なくともぬめりが取れるまでは手を洗うので、しっかり時間をかけてウイルスを洗い流すことができる。 ノロウイルスは指先よりも手のひらの根元につきやすいので、手首までしっかり洗うように心がけること。

また、ウイルス自体は確かに普通のマスクをすり抜けるほど小さいが、空中のノロウイルスは水滴やホコリに乗って漂っているので、それらが鼻や口から入るのを防ぐには普通のマスクで十分。

ノロウィルス予防に直球勝負。