美智子皇后の勇気

※※※12月13日(水)※※※

マスコミ等ではあまり報じられていませんが、去る、10月20日、美智子皇后が、宮内記者会からの質問に答えるたちで公表された文書の内容が話題になっています。

それは、まるで改憲をして戦争のできる国づくりに邁進する現政権を牽制するかのような、極めて踏み込んだものだったからです。

皇后は、今年のノーベル賞に「日本も関わる二つの賞」と前置いたうえで、日系イギリス人のカズオ・イシグロの文学賞受賞と並び、平和賞に「ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)」を挙げられました。

そして、この受賞を「大きな意義があった」と評価して、次の様に綴られています。

平和賞は、核兵器廃絶国際キャンペーン『ICAN』が受賞しました。 核兵器の問題に関し、日本の立場は複雑ですが、本当に長いながい年月にわたる広島、長崎の被爆者たちの努力により、核兵器の非人道性、ひと度使用された場合の恐るべき結果等にようやく世界の目が向けられたことには大きな意義があったと思います。

そして、それと共に、日本の被爆者の心が、決して戦いの連鎖を作る「『報復』にではなく、常に将来の平和の希求へと向けられてきたことに、世界の目が注がれることを願っています。」

ICANには、世界100カ国を超るNGOが参加し、日本からも7団体が加わっている連合組織です。

ICANは、被爆者の証言を聞く会合を開き、各国政府に直接働きかけるなどして、今年7月の国連核兵器禁止条約の採択に貢献し、そのことが評価されてのノーベル平和賞受賞でした

しかし、国連核兵器禁止条約の交渉にすらのぞまず、批准を拒否するという強硬な態度をとってきた現政権は、ICANの平和賞受賞には一言もコメントを出していません。

この様な日本の現状の中で、美智子皇后が誕生日文書のなかで、敢えて、ICANについて掘り下げ、その受賞の意義を大きく評価したことは大きな意味があります。

ある有識者は、「これは一般論ではなく、明らかに核兵器廃絶の世界的潮流に争い、さらに北朝鮮の核・ミサイル問題を利用して好戦的世論を扇動している安倍政権の動きを意識したものと解釈できる。」と評していますが、私も同感です。

「天皇陛下の下」だとか「瑞穂の国」だとかの錦の御旗を掲げる「似非国粋主義者」の胡散臭さを見事に喝破した美智子皇后の勇気に心から敬意を捧げます。

真の平和に直球勝負。