大義なき衆院解散①

※※※9月19日(火)※※※

安倍首相は、9月28日の臨時国会冒頭にも衆院を解散する方針を固めたと報じられています。

しかし、この様なやり方の「衆議院解散」は憲法上重大な問題をはらんでいるのではないでしょうか。  以下、その理由について郷野信郎弁護士の記事を参考に簡単にまとめてみました。

憲法第45条で衆議院の任期は4年と定められていますが、第69条では例外としての「内閣不信任案可決」に対抗する手段として衆議院解散権」が認められています。

つまり、解散ができるのは、第69条の内閣不信任が提出された場合にのみに限定されていると解釈するとされています。

議院内閣制の下では、「内閣は議会(国会)の信任によって存立」しているのですから、内閣不信任の意思を表明していないのに解散させる事は、自らの信任の根拠である「議会」の存在基盤を失わせる行為に等しいと言わざるを得ません。

先進諸外国でも、内閣に無制約の解散権を認めている国はほとんどなく、日本と同じ議院内閣制のドイツでも、内閣による解散は、議会で不信任案が可決された場合に限られています。

また、内閣に自由な解散権が認められているイギリスでも、2011年に「議会任期固定法」が成立し、「下院の3分の2以上の多数の賛成」が必要とされ、首相による解散権の行使が制約されています。

69条の場合以外に、憲法7条に基づく衆議院解散が認められる場合は、①重大な政治的課題が新たに生じた場合や、②政府・与党が基本政策を根本的に変更しようとする場合など、民意を問う特別の必要がある場合に限られてきたもので、内閣による無制限の解散が認められてきたのではありません。

このような、現行憲法上の内閣の解散権の解釈と従来の運用からすると、首相が「臨時国会冒頭解散」を行うことは、憲法が内閣に認めている解散権を大きく逸脱したもの言わざるを得ません。

政権与党の暴挙に直球勝負。